この交差点の近所に住んでいた知り合いに聞いた話です。
その友人は普段から通学にこの道を使っていたそうなのですが、ある日友達と遊んだ帰り、記憶違いでなければ午後の11時頃だったといいます。この交差点に差し掛かった時、庚申塔の前に子どもが立っているのが見えたらしいです。
パッと見その子どもは、小学校低学年の男児だったそうで、とても11時に一人で出歩いていいような歳には見えなかったそう。
何かあったのだろうか?そう思い、少年に声を掛けようと顔を覗きこんだのですが…。
その少年の顔は、引き摺られたように肉が裂けて、だらだらと血が垂れていたといいます。
友人は驚き、全力疾走で帰宅した後、家にいた母親にその事を話したそう。すると、母親は真剣な顔になり、誰かに電話した後、友人を連れ出し車に乗せました。
友人は訳も分からず、1時間ほど車に揺られていると、鳥居のない神社のような建物の駐車場で停車し、母親はその建物の管理者らしき人と会話を始めたそう。
数分話した後、母親は友人を車から出し、その神社のような建物へと誘導しました。
建物に入ると、中は体育館のように広く、天井が高く、部屋は少ないように見受けられたといいます。その広いホールのような部屋の中心に、2つの座布団と、その座布団のうち友人から見て向かい側の座布団に座るお坊さん風の装束に身を包む母親と同世代ほどのおばさんがいたといいます。
そのおばさんは友人を空いている座布団に座るように仕向け、友人はそれに従った。
「これからある儀式をします、お払いのようなものだと思ってください。」
おばさんは友人にそれだけ言い、読経のようなものを始めました。長くなりそうだなと思っていたらしいのですが、意外と早く(数分)終わったらしく、その日はそのまま帰宅し就寝したそう。
そして翌日、母親に起こされ時刻を確認すると、朝の5時。なぜこんなに早く起こされたのか疑問だったが、寝ぼけ眼を擦りながら二階の自室から一階のリビングへと降りたそう。
すると、仕事のはずの父親もリビングにおり、出掛ける準備をしていた。
「どこに行くの?」
友人がそう聞くと、両親はこう答えた。
「ここにはもういられないから、お母さんの実家に行くのよ。」
どういうことなのか理解が追い付かずボーッとしていると母親に声を掛けられたといいます。
「あんたも引っ越しの準備しなさい」
その声に生返事を返し、なにがなにか分からないまま引っ越しの準備をして、父親の運転で母の実家まで帰ったそう。
後に両親に聞くと、あのおばさんは母親の高校の同級生だったらしく、今は霊能者をしているそう。そしてあの時してもらった読経のようなものは、友人に憑いている霊がどんな霊かを確認するためのものだったそう。
そしてわかったことは、友人に憑いた霊は好奇心のある霊であり、いつどんな霊現象に見舞われるかわからないような危ない状態だったそう。そして、その霊から離れるには、あの交差点から遠く離れた場所へ行き、二度と近寄らないことだと言われたという。
そのため、現在は母親の実家に居候の身であると。
以上、創作臭の強い話でした。