まだここが有名なスポットではなく、地元民のみが知るスポットだったころ、僕は友達二人を連れここで肝試しをしようと計画しました。
そっちの方に精通した同級生は「そこはやめておけ」なんて止めて来ましたが、そのころの僕らはあまりにも馬鹿だったので、しつこいぞなんて思いながら聞き流していました。今思えばこの警告を素直に聞き入れておけばなんて思います…………と、恐い話にありがちなことを言いましたが、別にそこまでエグいことが起きたわけではないので安心してください。
その二人の友達と話合い、その日の深夜1時に現地集合ということになりました。私は現地にいち早くつき、後続を待った後、全員揃ったことを確認して中に入りました。「なんか声しない?w」「なわけねぇだろwってかお前笑っちゃってるじゃんw怖がらすならもうちょい真面目にやれよw」
なんてじゃれ合いながら探索を続けていると、ふと気づきました。「あれ?○○(同行者)いなくね?」そう気づいた瞬間、全身にブワァっと鳥肌が立ちました。「やばい!探すぞ!」僕はそう叫び○○を見失った場所まで走りました、すると、なんだか明るい場所を見つけました。「○○!」僕はその明るい場所に向かって同行者の名前を叫びながら走りました。
そして○○がいるかどうか確認すると…………そこには成人男性サイズの炎の塊と、それをまじまじ見つめる○○がいました。
「なんだこれ…」僕がそう溢していると、○○がなにかをしようとしているのが目に入りました。そのなにか、○○は炎の塊に手を入れようとしていました。
「お、おい!やめろ!」僕はそう叫びましたが、○○にはその声は届かず、右腕の肘の少し上辺りまで炎の塊に手を突っ込み、そして正気に戻ったのか悲鳴を上げながら腕を抑え悶え始めました。「大丈夫か!?」床に倒れこんだ○○に声を掛けながら水を取り出し○○の腕に掛けました。
しばらくするともう一人の同行者の××もやってきて、その光景を見て唖然としていました。
「なんでこんなことになってるんだ!?」
××がそう言うものだから、「こいつがそこの炎に腕を突っ込みやがった!」と答えたら、××が言いました。「そこの……炎?」
その言葉に僕は炎の塊があった場所に目をやりました、すると、さきほどまであったその塊は跡形もなく消えていたのです。「説明はあとだ!とりあえずこいつ(○○)病院に連れてくぞ!」僕はそう叫び、××と協力して病院まで向かいました。病院に着くころにはもう辺りは明るくなっていたと思います。
病院の受付で話して実際の病状を見せると、スムーズに入れました。医師の方にはなぜ救急車を呼ばなかったんだ!?と怒鳴られましたが、廃墟で肝試ししてたとはさすがに言えなかったのでそこまで頭が回らなかったといいやりすごしました。
その後、痕は残ってしまったものの、○○の命に別状はなく、僕達にもとくになにもありませんでした。そんななにもない話ですが、僕達にとっては人生で一番怖かった経験です。
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