これは私の体験談ではなく、同じクラスの男子と担任の先生から聞いた体験談になります。
私たちは小学校の校外学習で鎌倉に行きました。
それぞれ4~5人程度のグループを組んで回るルートを決め、自由に探索したら集合時間までに戻って来るという形で校外学習はスタート。
大抵は学校の席順で決まっている班になることが多かったのですが、この時は珍しく好きな班を組んでいいと言われていました。
なので案の定、男子は男子と、女子は女子と組み男女混合の班はありませんでした。
そこで問題になるのが、やんちゃ盛りの男子班にストッパー役(女子)がいなくなることです。
どこの班の男子も「心霊スポット行こうぜ!」と張り切っていました。
そんな男子生徒が多発することは目に見えていたので、先生方も「そういった名目で行くのはよくない」と注意してくれていたのですが、小学生男子がそんな一言で折れるわけありません。
クラスの一軍男子グループが「絶対行く」「写真撮ってくる」と意気込んでいたので、我々女子は「はいはい」と軽く流していました。
集合時間が近づいてそろそろ戻ろうかと坂を下っていると、例の男子グループと担任の先生が見えました。
私たちは「あいつら、心スポ行ったの先生にバレたんじゃね?」と思っていたのですが、なんだか全員元気がないように見えたのが気になって声をかけることにしました。
声をかけるなり、「やべぇ」「聞いてよ」と。
何だと聞いてみれば「さっき腹切りやぐら行ってきたんだけど…」と言われ、「ああ、やっぱり行ってきたんだ」と呆れ半分に相槌を返しました。
「それがさ、写真撮れなかったんだよ」
男子はそう言うと先生の方を向き、手に持っている学校指定のデジカメを指さします。
「カメラ、つかなくなっちゃったんだよね」
と先生も苦笑いで答えてくれました。
どうやら、絶対に心スポに来るだろうと踏んでいた先生は男子たちを待ち伏せしていたらしく、「どうしても写真を撮りたい」という男子のために同行する形でならと付き添ってくれていたそうです。
事としては、心霊写真が撮れたらいいなと腹切りやぐらの前で写真を撮ろうとしたところ、突然カメラがつかなくなったと。
そして、腹切りやぐらを離れたらカメラは正常に起動したというのです。
なので、結果的に写真は撮れず仕舞いだったそう。
正直男子が言うなら「嘘だろう」と笑っていましたが、先生が言うなら本当なんだろうと我々もゾワッとしました。
特に、あの息巻いていた男子たちが写真が撮れなくてガッカリしているというよりも、怪奇現象に会ってしまったことによる衝撃で沈んでいるように見えたのがリアルさを強調させていました。
私は視えもしなければ霊感もなく、霊はいない!(そうであってほしい)と思っている人間なのですが、この事があってからは「本当にいるのかも……」という気が頭の片隅にあって最悪です。