坂本国際墓地は長崎で最も大きい外国人墓地。埋葬されている325名は日本人を含む14カ国の外国人からなっています。
その外人墓地に友人と肝試しに行ったときの話です。
噂では墓地内の滝がある場所が一番やばいといわれています。なにか心霊現象が起こるのではと恐怖半分楽しみ半分で探索しました。しかし期待は外れ何事も起きず。しょうがなく車を停めた場所に戻ることにしました。
車に乗り込む直前、友人のほうをふと見ると周囲を赤い光を放つ物体が浮遊していました。友人に「それなに?」と聞いても友人は首をかしげるだけで何も見えていないようでした。
赤いオーラを放つ心霊写真が一番危険だという話を聞いたことがあります。赤色は霊からの危険信号なのだと。その話を思い出し急いで帰宅することにしました。
車を走らせるといつのまにか赤い物体は消えていました。見間違いだったのかなとホッとしたのもつかの間、今度はサイドミラーに黒い人影が車の後ろから近づいてくるのが写っていることに気がつきました。
それも物凄い速さで近づいてきます。一瞬消えたかと思うとさらに近づき、まるで瞬間移動をしているように見えました。次第にアクセルを踏む力も強くなります。
あまりの恐怖で友人も言葉を失っているのかと思い助手席を見ると友人は生気が失われたような顔で身動き一つしません。口は半開きで目の焦点はあっておらず話しかけても返事はありません。
本格的にやばいと悟り事故らないように注意しながら、それでも黒い人影に追いつかれないスピードを保ちなんとかコンビニまでたどり着きました。
その頃には黒い人影の姿は見えなくなっていました。友人のほうを見るとその顔には生気が戻っており、どうしたんだと言わんばかりに驚いた顔でこちらを見ていました。
「あんなにスピード出したら危ないだろ!なんで止まらないんだよ!」
そう怒鳴られてこちらも驚きました。さっきまでの出来事を話すと友人も驚き、そして友人と僕では違う光景が見えていたことを知りました。
友人いわく僕がいきなり車のスピードを上げて、「どうしたんだ」と声をかけても真っ直ぐ前だけを見て運転をしていたそうです。何度声をかけても振り向くことはなくまるで何かに取り憑かれているような姿だったと。
僕と友人のどちらの体験が真実だったのかはわかりません。だけど外人墓地の滝に行ってからおかしくなったのは間違いないと思います。静かに眠る霊を怒らせてしまったのかもしれません。