あれからもう3年がたちました。家族旅行で青森県に行ったときの話です。
紅葉が綺麗だと聞いていた十和田湖へレンタカーで向かっていました。父が運転手で母は助手席に。私と妹は後部座席に座っていました。
十和田湖まであともう少しというところで私は身体に異変を感じました。寒気というよりは電流が走ったようなピリピリとした感じです。私に気づいた妹が「お姉ちゃんどうしたの?震えているよ」と声をかけました。
その声を聞き今度は母が「寒いの?」と言ってエアコンの温度を上げてくれました。しかし痺れはだんだんヒドくなり身体がブルブルと震えます。私は少しだけ霊感があるのでこれが寒さの震えじゃなく霊的なものだということが分かっていました。
父が路肩に車を停めます。みんなが心配して声をかけてくるのですが私はなんだかボーっとして声が出ません。意識だけが身体から離れているような感覚と言いますか。震えている私とそれを心配している家族の姿を少し離れた場所から見ているような感覚でした。
するとだんだん意識だけが遠くに離れていくのが分かりました。スーっと何かに引っ張られていく。気づいたら目の前には十和田湖が広がっていました。その時はまだ十和田湖を見たことがなかったので正確には十和田湖と思われる場所ですね。十和田湖からは何者かが潜んでいる存在感があります。私は本能的にそれが危険なものだと感じました。
ハっと目が覚めると私は車の後部座席に座っていて視界には心配する家族の顔が写りました。震えも止まり普通の状態に戻っていました。
安心した父は運転席に座り直し車を走らせようとします。私は「待って!十和田湖には行きたくない!」と叫びました。母と妹は驚いた顔をしていて父は振り返り「どうした?」と聞いてきました。
「分からないけど…、とにかく十和田湖には行きたくない…」と言うと父は頷いて車をUターンさせました。さっきまでの私の姿を思い出しただ事ではないと気づいたようです。母と妹も反対しませんでした。
その後は他の観光地へ行き楽しく旅行を終えました。十和田湖に何が潜んでいたのかは分かりません。もしあのまま十和田湖に行っていたら私たち家族に良くない事をもたらすものが待ち受けていたと思います。確信はありませんがそう思います。