群馬県高崎市にある群馬の森はとても広い公園で昼間は子供が集まり休日は家族連れで賑わう憩いの場所です。敷地内には近代美術館や歴史博物館があり、売店とレストランもあるので観光客にも人気のスポット。
ところが明るい場所から離れると草木が生い茂り不気味な雰囲気を醸し出しています。人気の観光スポットとは思えないまるで廃墟に来ているような錯覚もあります。
群馬の森の閉園時間は18時30分、それ以降は門が閉められてしまいます。しかし簡単に乗り越えられるため夜遅くになると若者の溜まり場になっています。私自身も大学生時代に友達と群馬の森に忍び込んで騒いでいました。
これだけの大きな公園がほぼ貸し切り状態になったことで変なテンションで盛り上がりました。見通しの良い場所で花火をやったり、公園の遊具で子供のように遊んだり。
そのテンションのままもっと奥のほうへ行ってみようということになりました。そこは森の中のような不気味な場所です。あまり人が近づかなさそうな場所なのになぜか柵やベンチがありました。
そのへんを歩いていると奥にある回転遊具のそばで子供が座っているのを見つけました。私は友達と離れその子供の近くへ。「どうしたの?」と聞くと「帰れなくなった」と言います。
迷子になってしまったのだろうか。とりあえず公園の外まで連れていこう。そう思い友人に声をかけようと振り返りましたが友人の姿は見えず。足元に目を向けると子供もいなくなっていました。変わりに奇妙な落書きだけが残っていました。人の顔のようなものと子供の字で「かえる」と書かれていました。
私はなんだか怖くなりさっさと帰ろうと思い友達を探しましたがどこにもいません。携帯にかけても繋がらない。30分ほど探しても見つからなかったので仕方なく一人で帰ることに。
後日話を聞くとその友達も私を探していたとのこと。私が回転遊具の近くへ歩いていくのが見えたからその周辺を探し回っていたそうです。何度も名前を呼んだみたいですが私には聞こえませんでした。たしかあの時は辺りがシーンと静まりかえっていたので少しくらい離れていても声は聞こえそうですが。
あの子供も結局なんだったのか分からずじまいでした。迷子が出たなんて話も聞きません。もしかすると私は変な場所に迷い込んでしまっていたのかもしれません。何事もなく無事に帰れて良かったです。