これは僕が新潟県のロッテアライリゾートに宿泊したときの出来事です。
その日は会社の同僚たちとスキー旅行に来ていました。ロッテアライリゾートは美しい雪景色と豪華な設備が整ったリゾートホテルで、スキーの後に温泉や食事を楽しめる最高の場所です。
チェックインを済ませ部屋へと案内されました。ベッドの正面には大きな鏡があり部屋全体を映し出しています。どこか高級感のある雰囲気に気分が高まり、僕たちは夜遅くまで飲みながら談笑していました。
しかし夜の11時を過ぎた頃、僕はふと違和感を覚えました。
(…鏡に何か映ってる?)
鏡を見つめると、僕たち4人しかいないはずの部屋にもうひとつの影が映っていることに気づきました。それは入口のドアの前に立つ長い髪の女性です。
「…え?」
全身に鳥肌が立ちました。心臓がドクンドクンと高鳴り声が出ません。鏡をじっと見つめていると、その影はゆっくりとこちらに向かって近づいてきます。
その瞬間、バンッ!という音とともに部屋の電気が消えました。
部屋が真っ暗になったと思ったら、次の瞬間には元の光景に戻っていました。みんなは何事もなかったかのようにお酒を飲み、話に花を咲かせています。鏡を見てももちろん僕たちの姿しか映っていません。
呆けている僕に同僚の一人が「どうした?」と聞いてきましたが、僕はただ震えながら「いや…何でもない」と答えるのがやっとでした。
翌朝、フロントでスタッフに何気なく鏡のことを聞いてみました。あの鏡はなんなのか、なにか秘密があるのかを知りたかったのです。しかしスタッフから返ってきた答えは意外なものでした。
「大きな鏡を設置してある部屋なんて無いはずですが…」
そんなはずはありません。僕はそばにいた同僚に鏡があったことを確認しました。しかし同僚の返事も「部屋にあった鏡…?そんなもん無かったよ。洗面台の鏡のことじゃないのか?」と耳を疑うものでした。
ロッテアライリゾートは豪華で快適なホテルでした。しかしあの夜以来、僕は鏡を見るのが怖くなり、夜は家中の鏡に布をかけるようにしています。